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2011 年 10 月の雑記

Table of Contents
2011/10/30: (いまさらの)魔法少女まどか★マギカ
2011/10/17: Criminal Minds #059 のまえに #058 まで見終った

2011/10/30: (いまさらの)魔法少女まどか★マギカ

Caution

9話まで見た上での推測。

以下、なお、当然、ネタばれを含む。 時期的に、いまさらなので、どうでもいいだろうけど。

「まどか★マギカ」は戦闘系魔法少女のザンボット3だ。 アニメ史の転回点として、 後世のアニメ史研究本で必ず取り上げられる番組になることは間違いない。

★★★

新房さんの初監督だった「メタルファイターMIKU」は名作だった。 それから、このかた新房作品は新作チェックリストに入れている。

もっとも、監督もタイプはいろいろ。 ほとんど全部自分だろ!の出崎タイプから, ほとんどいるだけの人までいろいろだ。 新房さんが、どれくらいストーリーに関与するタイプなのかは分からない。 でも、チェックリストには入れている。

近年のアニメは原作ものが多いので、 現場のお遊び的な演出が目立つのが気に入らないが、 オリジナルでないのでしかたないだろうと思っている。

そうはいっても、 新房作品の大半は「一話見て捨て!」ということはなく、 何度見ても合格点以上というものが多い。

これだけでも「見る基準」「チェックリストのデフォルト」として十分な理由だ。

★★★

「ザンボット3」の意義は、 「それまでのロボットアニメが無視した部分をきちんとやろう」 という点にある。

マジンガーZから闘将ダイモスまでシリーズ構成の理論は進化してきた。 一話完結方式から、 一年をとおして「ロミオとジュリエット」を語るという具合に。

その一方、ストーリーの背景にいる群衆は群衆のままだ。 街で戦い、街が破壊されているのに、 光子力研究所へ不満の群衆が押し寄せることはない。 「マジンガーがおれの新築の家をふみつぶしたぞ! ローンが3000万残ってるんだぞ! どうしてくれる! もう首をつるしかないだぞ!」 と言いながら兜甲児に石を投げたりはしない。

ザンボット3のフレームワークは従来のロボットアニメそのままだが、 一兵士や一民間人が当然感じるであろう視点を導入している。 そこがないのはおかないのはおかしいだろ! という冨野御大の意向がアニメ史の転回点として重要なのであった。 これは、実際に戦争にいった人としては当然だと思う。

ただ同じ路線上にあるガンダムは中途半端だ。 ロボットアニメのフレームワークを捨て近代戦争に移行したにも関わらず、 その背景設定が曖昧過ぎる。が、それは別の話題だ。

★★★

まどか★マギカに戻ろう。

戦闘系魔法少女もので無視してきたザンボット3的な論点の導入、 それがアニメ史を語る上で「まどか★マギカ」が重要な理由である。

とりあえず、自分は、いま九話まで見たところだ。あと三話。

「ほむら」は未来か平行世界から来た「まどか」の関係者、 もしくは自分自身という雰囲気をかもしている。 実は、まどかの母親(酒豪みくる)は義母で… という設定も考えられるが、それはうがち過ぎだろう。

「ほむら」の出典は、 新房監督のペンネーム「帆村」 → 海野十三の小説 → シャーロック・ホームズ。 確かに、きゅうべえの謎を何でも教えてくれる人ですな、このひとは。

「きゅうべえ」は、もっともらしいエントロピーの説明をしてくれたが、 へりくつごねてるだけで、 しょせん、 おまえらの食糧源の自作自演なだけじゃないのかよ! という推測も可能だ。 だいたい、 奇跡を起こすエネルギーはどっからもってきてるんだ? エントロピーに逆らいまくりで元が取れないんじゃないのか? 理屈があってないよ〜んw

ちなみに、 「人の脳細胞が死ぬ時に利用できるといい感じなんだ」ってのはSFにあるから。 あたらしくは無い。

ま、それはともかく、あとは最後、奇麗に終れるかどうかだ。 こういうストーリーラインは、ひっさっしぶりだ。 わくわくする。

自分が脚本を書くとしたら、素直に考えるなら、これしかない。 "負の連鎖を断ち切るために、まどかは Sacrifice" たとえば、 魔女、 魔法少女、 きゅうべえの民族すべてを道連れ(皆殺し)にする条件で魔法少女になり、 負の連鎖を止める。

西洋人なら、まちがいなく、そういう脚本を書くとおもう。 問題は、日本人がそういう脚本を書くだろうか? いや、書くことを選択できるだろうか? (SFマニアをのぞいて)一般の視聴者にはうけないだろう。 だが、あえてやってほしいもんだ。

ただし、 まどか自身の自己崩壊(→イデオン的宇宙消滅が最大構成)をどうするのか? は大きな問題である。 おそらく、そこの解決方針は大きく分けて二つ。 (1) 冨野な感じで、イデオン風全滅(宇宙消滅)。 (2) J.P.Hogan SF 的な解釈で、 まどかによるビッグバンが、 次の宇宙を生み出すという循環宇宙論的な話にもっていく。 (2') (1)の変形+)(2)で、ダンバイン風。消滅だが小さな救済つき。 「ほむら」が消滅する世界を引き取って、 循環宇宙がリスタートする(ような取り引きを、まどかがする)。

さ〜て、どう戦いぬくかな?(声:永井一郎)

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