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2009/12/23: 宇宙空母ギャラクティカ(2003)[日] 見直し SEASON 1

字幕版のシーズン2途中で挫折していた Battlestar Galactica (2003)。 日本語版の放映が RAZOR (season 3 と 4 の間に放映された TV スペシャル) まで終ったのを機に日本語版を一から再開。

アメリカでは、すでに放映が終了している。 TV シリーズ放映後に、 TV SPECIAL "THE PLAN" (season 4.5 というか season 5 第一話?) があるが、これも既に放映が終了し、DVD も販売中。 DVD 版は TV 未放映映像を含む。 なお、2010/01 よりサイロン戦争末期の頃、 つまり Battlestar Galactica (2003) の数十年前を扱った spin-off "Caprica" という TV シリーズが放映予定。

2003 年版と 1978 年版との対照表は "the Section called 2009/06/28: 宇宙空母ギャラクティカ(2003) サターン賞x3 in the Chapter called 2009 年 06 月の雑記" を参照。

シーズン1は惑星コボル(スペリングは Kobol、Cobol ではない)到着まで。 1978 年版の最初の数話を、ものすごく長くしたものに相当する。 長くなった話の内訳は (1) 2003 年版拡張の「人間型 Cylon」を使ったミステリー仕立ての話、 (2) 1978 年版にはない細かい話、 に大別される。

観点 (1) が 2003 年版最大の特徴だ。 単なる SF バトルアクションだと話が 1 シーズンもたないので、 この英断は、うまく機能していると思う。

「残りのサイロンは誰だ?」 「PLAN とは何か?」でシーズン4まで引っ張るつもりだ。

さて、そのサイロンの PLAN は?というと、 これは何か Hyperion みたいな感じで新規性を感じないが、 ミステリー仕立てのほうは、ストーリーを引っ張る原動力となっている。 脚本を見ても Galactica は、わざと生き残らされたと考える方が自然であり、 Galactica の重要人物は、みなサイロン疑惑があるといえる。

その中でもシーズン1で張られた最大の伏線は?というと、 「エースパイロットといえ、なぜスターバックは敵戦闘機 (戦闘機型 cylon 生物)を数時間でリバースエンジニアリングできたんだ?」 あたりが最重要に思える。 だいたい、この数十年、サイロン戦争は無かったわけで、 この時代のパイロットは実戦経験が皆無のはず。 そのわりに、Galactica の生き残りのパイロットたちは優秀過ぎだが?

観点 (2) は、民主主義、水や燃料の補給といった運用上の諸問題を扱う。 1978 年版には無いか、あってもあっさりしていたエピソードの細部の掘り下げだ。

民主主義については、 「9.11 後に製作された作品」という時代の影響も見逃せないだろう。 ただ、基本設定は受け継いでいても 1978 年版と 2003 年版はモチーフが全然違うので、 9.11 を持ち出すのは考えすぎかもしれない。 むしろ、 「さすがに 25 年もたつと能天気な SF は有り得ない」 と考えたほうがいいのではないかとおもう。

1978 年版は、植民地を追い出された 12 部族が「失われた 13 番目の 部族」に頼ろうと宇宙を旅する逃亡劇である。 そのため、艦長アダマは、軍人というより部族の長といった雰囲気だ。 議会のシーンも、たまに出てくるが、民主主義風ではなく、 これもまた部族の長会議という雰囲気だ。

2003 年版では、大統領がいる(たまたま生き残った教育長官が繰り上がった)。 民主主義がどうたらという話も多いし、経済の問題も出てくる。 水の補給話では、 危険な作業に民間人は使えないから囚人を使うといった黒い話もちゃんとある。 [1] の反政治勢力の英雄が登場し、話をややこしくしてくれる。なかなか、うまい。 この囚人/英雄 Tom Zarek を演じるのは Richard Hatch (1978 年版の Apollo 大尉)というところがファンサービス。

いずれにせよ、これらの要素は 1978 年版に全くなかった部分である。

リメイクについて

リメイクで絶賛された番組と言うのは皆無である。 一般論でもそうであるし、自分の中でも無い。 Battlestar Galactica だけが例外だ。

続編で絶賛できるものも皆無。Alien 2 くらいしか思いつかない。 Alien 2 は、基本設定だけうけついで全く違う話にする( ホラー → 戦争もの)という英断があったから Alien 2 は名作になった。

基本的に同じストーリーで、細部を深堀する形でリメイクし、 絶賛された作品というのは Battlestar Galctica くらいしかない。

しかも放映中の時点で「(アメリカ人の選ぶ)アメリカで放映された全 TV シリー ズのベスト 10」投票でベスト 10 に入ってしまった。 ベスト 10 には The Prisoner (1968-1969,イギリス)なども、きちんと入って おり、納得のいくベスト 10 だ。 もちろん、 日本のレンタルビデオ屋にたくさんころがっているような番組は上位には来ていない。 安心。

やはり、今でも名作は 「打ちきり、LD が手に入らない、DVD が手に入りにくい、日本で放映されない」 という条件を見たしがちなのだ!

外国テレビシリーズマニアたるもの、外国から DVD を買うしかない

なお、「英語かつ英語字幕」でよければ、外国から DVD を輸入すると良い。 名作も、まぁまぁ手に入る。

The Prisoner は 2008 年に、40 周年記念版 DVD-BOX が出たところ。 狂気乱舞。

Battlestar Galactica は 1978 も 2003 も手に入る(1980 はゴミなんで無視)。 ただ 2003 の DVD-BOX は放映終了直後発売で、THE PLAN が別売。 そして DVD-BOX には無駄に cylon 人形とかついてくる。 Amazon.com でアメリカ人も「いらねー、この BOX」とコメントしているくらい。 2003 は DVD-BOX 廉価版が出るまで待った方が良い段階だ。

とはいえ、名作で入手できない DVD ものも多い。 Hill Street Blues は season 2 までしか出ていないし、字幕もない。 Chicago Hope (season 1 and 2 だけでいい)は DVD を売ってもいない? あちらでも厳しいものは厳しい。orz。

References: Battlestar Galactica

the Section called 2009/06/28: 宇宙空母ギャラクティカ(2003) サターン賞x3 in the Chapter called 2009 年 06 月の雑記

the Section called 2009/12/23: 宇宙空母ギャラクティカ(2003)[日] 見直し SEASON 1

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the Section called 2010/02/XX: 宇宙空母ギャラクティカ(2003)[日] 見直し "Kobol's Last Gleaming" in the Chapter called 2010 年 02 月の雑記

the Section called 2010/02/XX: 宇宙空母ギャラクティカ(2003)[日] 見直し "Captain's Hand" in the Chapter called 2010 年 02 月の雑記

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the Section called 2010/03/01: 宇宙空母ギャラクティカ(2003)[日] #043-045 in the Chapter called 2010 年 03 月の雑記

the Section called 2010/03/01: 宇宙空母ギャラクティカ(2003)[日] #046-050 in the Chapter called 2010 年 03 月の雑記

the Section called 2010/03/01: 宇宙空母ギャラクティカ(2003)[日] #064 in the Chapter called 2010 年 03 月の雑記

the Section called 2010/03/24: 宇宙空母ギャラクティカ(2003) #067 in the Chapter called 2010 年 03 月の雑記

the Section called 2010/04/21: 宇宙空母ギャラクティカ(2003) #068 - #071 (いったん終り) in the Chapter called 2010 年 04 月の雑記

the Section called 2010/04/21: 宇宙空母ギャラクティカ(2003) #072 放映予定なし in the Chapter called 2010 年 04 月の雑記

the Section called 2010/04/28: 宇宙空母ギャラクティカ(2003) #073 〜 in the Chapter called 2010 年 04 月の雑記

the Section called 2010/05/12: Galactica(2003) #075 in the Chapter called 2010 年 05 月の雑記

the Section called 2010/05/19: Galactica(2003) #076 in the Chapter called 2010 年 05 月の雑記

#077 "No Exit"

#078 "Deadlock"

#080 "Islanded in a Stream of Stars"

#081 "Daybreak Part I"

#082-083 "Daybreak Part II and III" (最終回)

#084 "THE PLAN" 最終回の半年後に放映された TV スペシャル。これで全て終り。

Notes

[1]

★★★

さて、12コロニーだが、本来は12コロニーなのである。 おそらく「ユダヤ 12 部族と失われた 13 番目の部族」 という昔からのトンデモネタを元ネタにしているからだ。 ただ、2003 年版では初期植民地が 12 というだけで、 もっと多いらしい。 物語が始まる時点での正確なコロニー数は不明のままである。

第一話に、 「昔は 12 コロニー。1 コロニー 1 Battlestar。」 と説明しているシーンがあるので、 そのあたりの設定は 1978 年版と同じであることが分かる。

だが、そのあと数十年でどう植民地が広がったのか?は説明されていない。

そして、宇宙空母 (Battlestar) の総数も不明。 昔はコロニー数と同じなので 12 しかなかったはず( 2隻 Galactica と Pegasus だけ逃げのびた)。

なお、旗艦の名前は一緒で Atlantia (2003 版に映像は出てこない)。

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