黄色いタンポポ数本とわたぼうしのタンポポ数本がこじんまりと群生し、そよ 風に揺れているさびれた砂利の空き地の隣に、やすっぽいアルミ色の鉄板で囲 まれた10m四方の駐車場があった。なぜか UFO が、その鉄板の上面すれす れのところで、その駐車場から出たり入ったり、ただよっている!
いや、よくみれば、安っぽい UFO 風船が車に結びつけられているだけのよう だ。3 割がた気の抜けたその UFO は「おいら、まだまだいけるぜ」とばかり に西風にさからって、蜻蛉の最後の日のように最後の炎を燃やす。
いと詫びし。
その鉄板の脇を若い男女二人乗りの自転車が通りかかった。二人は少し振り返 りつつ、たばこをふかしながら UFO を見上げ、一瞬戸惑いの表情を浮かべな がら、ゆっくりと向うへいってしまった。
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