北海道には春と秋がない。 それは一瞬で過ぎていく実感のない風景なのだ。 しかし、今年は秋が長い。 名残を惜しむように紅い風景が佇んでいる。
北大構内を歩けば、 両手で抱え切れないような太さの白樺たちの向うに、 視界の端に、 紅葉色としかいいようのない紅葉たちが自己主張をしている。
色、色、色なのだ。 言葉を越えた色たち。 日本の風景。
今日、冬が来た。 いや、冬は以前から来ている。 だが、白い風景を視感した時にはじめて冬の訪れを告げられた気にさせられる のだ。
さやうなら、色の秋。
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