物理学者にとっての初心とは何か? やはりプラトンだろうか
プラトン主義の根底には、「彼岸へ」ということがある。 物理学の追い求めた「世界を一つの方程式で記述する」という理念の根底には 「彼岸の記述」という側面が明らかに存在する。 なにしろ実験では間接的にしか理論を証明できないのだから。 [1]
プラトンの思想を考える際にはプラトンがアテナイが亡びゆく時代のエリート 階層だったということを抜きにして考えてはならない。 そして栄光の時代とかげりゆく時代の両方を知っていた世代には 過ぎ去った現実の彼方にある「彼岸」にある真実を追い求めただろう。
だが、プラトンにおけるイデア思想とは何か?にばかり着目するのは間違っている。 まず、我々が学ぶべきもの/思い出すべきことはディレクレティケ(対話法)と は何か?であり、その姿勢であろう。
プラトンがソクラテスについてどのくらい正しく叙述しているのか確かめる術 はもうない。 しかし、イデア論はともかく、 その方法論という一点についてだけはソフィストより偉大であったのだとおもう。 しかし現実的なのはその時点(前期ソフィストの時代?)でもソフィスト [2] の方法論であったかもしれない。
[1] | いくら加速器を使っても我々は傍証から理論が正しいことを知ってい るだけだ。しかし、同じ結論を導き出す別の理論があってももちろん 構わない。 |
[2] | 後期ソフィストにいたっては元祖マニュアル主義野郎に加え、 詭弁を教えるやつらだといわれている。 |
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