アメリカ人の書いた90年代の有名な本だ。それではなく、その日本向け続編 みたいな新書の話。
意外だった。文明論だからだろうか?けっこう、シュペングラーやトインビー の話が一杯出てくる。
たとえば、トインビーだが、A study of history において、 ヘレリック(ギリシャ・ローマ)文明以外の論証は不正確だし、 [1] 目標がでか過ぎてだめでしょ?そういう扱いなんだとおもいこんでいた。 特に西洋で、そうだとおもっていた。
逆に、日本人は何となく好きぽい雰囲気がある気がする。それはトインビー学 説が中国と日本を別の文明扱いしてくれているためなんだろうか?
あの理論はだめだとおもうんだがねぇ。しかも、この手の学説は世の中の先行 きが怪しくなるたびに発生してくるもので、基本的な論理自体は全然おもしろ くない。あとは detail の差だ。
ただ、トインビーの偉かったところは、A study of history の detail では なく、19世紀生まれのイギリス人が文明の等価性を主張しようとした姿勢に こそあると思う。
[1] | A study of history の理論の問題点については R.G.Collingwood の Idea of history などを参照しよう。 Collingwood にも公平とは言い難い面があるが、 トインビーの問題点については正しいと思う。 |
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