makefml とシンタックスの異なる fml というコマンドがあります。
makefml コマンド ML名 オプション fml ML名 コマンド オプション違いは引数の順番です。 ML名とコマンドの順番が違うだけで、 実行される内容は、まったく一緒です。
動作時の表示の仕方も異なります。fml8 のほうが Unix 的です。 fml4 のコマンドは、可能なかぎり処理の様子を表示し、 最後に処理の変更点を表示するようになっています。 逆に、fml8 のコマンドは、できるだけ静かに動きます。 [1] これは、そのほうが Unix 風だということと、 必ずしも操作対象がファイルとは限らないため、 差分が表示できるわけではないためです。
makefml から実行される各コマンドの相違点は以下の通りです。
Table 1. fml4 と fml8 の違い: CUI (makefml もしくは fml コマンド)
内容 | fml4 | fml8 |
---|---|---|
ヘルプの表示 | makefml help ML もしくは makefml info ML を実行するとヘルプが表示される。 どちらでも同じ動作。 表示の際に、環境変数 PAGER が指定されていれば、それを使う。 | 未実装 |
fml のインストール方法 | トップディレクトリで make install (実体は makefml install)を実行する | トップディレクトリで configure および make install (実体は install.pl スクリプト) |
インストールスクリプトの挙動 | 対話法式がデフォルト。最重要項目は対話的に設定が可能。 | 対話法式ではない。最重要項目は configure オプションで指定する。 |
MLの作成 | makefml newml ML もしくは makefml new ML | makefml newml ML |
newml コマンドが作るエイリアス(見本)ファイル | sendmail 用 (互換性があるため postfix 用としても使用可能) | postfix, sendmail, qmail, procmail すべてを作る |
newml コマンドが作るエイリアス(見本)ファイルのパス | /var/spool/ml/etc/aliases | /var/spool/ml/etc/mail/aliases |
qmail 用の設定を作る | makefml qmail-setup ML | 不要 (デフォルトで作成する) |
aliaes を再生成する | makefml recollect-aliases ML | 該当するものはない |
ML の削除 | makefml destructml ML | makefml rmml ML |
エラーメール自動解析ツールを設定する | makefml mead ML を実行し、エイリアスも適宜、設定変更する。 | 不要、デフォルトで設定されている |
fml 自体のテストをしてみる | makefml test ML | 未実装 |
LISTSERV スタイルのコマンドのセットアップ。 | makefml fmlserv ML listserv majordomo でも同じ。 | 未実装 |
アドレスを(受信者、送信者リスト両方に)追加する | makefml add ML ADDRESS もしくは adduser でもよい。 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は actives と members ファイル。 | makefml subscribe ML ADDRESS なお add subscribe adduser useradd コマンドは全て同じ意味である。 エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は $primary_recipient_maps と $primary_member_maps で、 具体的には recipients と members ファイル。 |
アドレスを(受信者、送信者リスト両方から)削除する | makefml bye ML ADDRESS もしくは byeuser でもよい。 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は actives と members ファイル。 | makefml unsubscribe ML ADDRESS なお bye unsubscribe deluser remove resign signoff userdel コマンドは全て同じ意味である。 エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は $primary_recipient_maps と $primary_member_maps で、 具体的には recipients と members ファイル。 |
アドレスを変更する(受信者リスト、メンバーリストともに変更する) | makefml chaddr ML OLD_ADDRESS NEW_ADDRESS 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は actives と members ファイル。 | makefml chaddr ML OLD_ADDRESS NEW_ADDRESS エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は $primary_recipient_maps と $primary_member_maps で、 具体的には recipients と members ファイル。 |
受信者リストにのみアドレスを追加する。 | makefml addactives ML ADDRESS これは addactive add2active add2actives でも同じ意味。 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は actives ファイル。 | makefml addactives ML ADDRESS エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は $primary_recipient_maps で、 具体的には recipients ファイル。 |
メンバーリストにのみアドレスを追加する。 | makefml addmembers ML ADDRESS これは addmember add2member add2members でも同じ。 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は members ファイル。 | makefml addmembers ML ADDRESS エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は $primary_recipient_maps と $primary_member_maps で、 具体的には recipients と members ファイル。 |
リアルタイム配送を止める | makefml off ML ADDRESS これは skip でもよい。 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は actives ファイル。 | makefml off ML ADDRESS エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 |
リアルタイム配送を再開する | makefml on ML ADDRESS 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は actives ファイル。 | makefml digestoff ML ADDRESS もしくは makefml digest ML ADDRESS off エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 |
まとめおくり配送へ | makefml matome ML ADDRESS コマンドは digest でもよい。 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は actives ファイル。 | makefml digeston ML ADDRESS もしくは makefml digest ML ADDRESS on エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 |
リモート管理者を追加する。 | makefml addadmin ML ADDRESS 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は members-admin ファイル。 | makefml addadmin ML ADDRESS エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は recipients-admin と members-admin ファイル。 |
リモート管理者を削除する。 | makefml byeadmin ML ADDRESS 終了後、ファイルの変更点が表示される。 デフォルトの操作対象は members-admin ファイル。 | makefml byeadmin ML ADDRESS エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は recipients-admin と members-admin ファイル。 |
リモート管理者のパスワードを設定する(1) | makefml passwd ML 対話モードになり、アドレスとパスワードの入力を促される。 | makefml passwd ML はエラーになる。(未実装?) |
リモート管理者のパスワードを設定する(2) | makefml passwd ML ADDRESS 対話モードになり、パスワードの入力を促される。 | makefml passwd ML ADDRESS 引数で PASSWORD を入力しない場合は、 対話モードになり、パスワードの入力を促される。 |
リモート管理者のパスワードを設定する(3) | makefml passwd ML ADDRESS PASSWORD 処理の様子が表示される。 デフォルトの操作対象は etc/passwd ファイル。 | makefml passwd ML ADDRESS PASSWORD エラーにならない限り、画面表示はなく、静かに終る。 デフォルトの操作対象は etc/passwd-admin ファイル。 |
メニュー形式で設定を変更する | makefml config ML | 実装しているが、まだ中途半端。 |
設定ファイルを編集する | makefml edit ML 使うエディタの入力を促し、 そのエディタで config.ph を編集できるようにする。 エディタのデフォルトは vi 。 | makefml edit ML エディタで config.cf を編集できるようにする。 使うエディタを尋ねたりはしない。 環境変数 EDITOR が設定されていれば、その値が使われる。 エディタのデフォルトは vi 。 |
fml4 固有の設定ファイル変換( cf から config.ph を再生成する) | makefml update-config ML これは update、config-update、update-config.ph コマンドでも同じ。 処理の様子が表示される。 | 設定ファイルは config.cf しかないため該当する操作は不要。 |
メニューを使い、cf のテンプレートファイルを編集する | makefml config-template ML | 未実装 |
newml の際に使われる各種テンプレートファイルを編集する | makefml edit-template FILE なお FILE なしで実行すると、指定可能なファイル一覧が表示される。 | 未実装 |
MLのホームディレクトリにあるヘルプなどのファイルを再生成する | makefml create-doc-template ML | 不要。存在しない。 もし置かれているなら、それは管理者がつくって置いたもののはず。 |
引数の SRC ファイルを DST へ、ファイル内の変数を変換しつつ生成する。 | makefml conv ML SRC DST | 未実装 |
ログをみる。デフォルトでは最後の100行が表示される。 | makefml log ML [オプション] これは makefml tail ML でも同じ動作になる。 | makefml log ML オプションは未実装 |
admin.cgi のセットアップ(スクリプト生成、apacheの設定支援) | makefml admin.cgi ML 対話的に行なわれる。 | 半分未実装、半分不要 (スクリプトは makefml newml 時に自動的に作成) |
ml-admin.cgi のセットアップ(スクリプト生成、apacheの設定支援) | makefml ml-admin.cgi ML makefml mladmin.cgi ML でも同じ。 対話的に行なわれる。 | 半分未実装、半分不要 (スクリプトは makefml newml 時に自動的に作成) |
admin.cgi の .htpasswd を設定する | makefml html_cgiadmin_passwd ML | 未実装 |
html_config | makefml html_config ML このコマンドは html_config_set でも同じ。 CGI から設定を変更する際に使われている内部用コマンド。 | 未実装 |
リモート管理者のパスワードを設定し、かつ ml-admin.cgi の .htpasswd を(リモート管理のパスワードと同じも のに)設定する | makefml html_passwd ML | 未実装 |
ml-admin.cgi の .htpasswd を設定する | makefml htpasswd ML | 未実装 |
pgp コマンド WRAPPER | makefml pgp ML | 未実装 |
pgp2 コマンド WRAPPER | makefml pgp2 ML | 未実装 |
pgpe コマンド WRAPPER | makefml pgpe ML | 未実装 |
pgpk コマンド WRAPPER | makefml pgpk ML | 未実装 |
pgps コマンド WRAPPER | makefml pgps ML | 未実装 |
pgpv コマンド WRAPPER | makefml pgpv ML | 未実装 |
gpg コマンド WRAPPER | makefml gpg ML | 未実装 |
admin-auth (PGP, GPG KEY RING の操作) | makefml admin-auth ML | 未実装 |
admin-encrypt (PGP, GPG KEY RING の操作) | makefml admin-encrypt ML | 未実装 |
dist-auth (PGP, GPG KEY RING の操作) | makefml dist-auth ML | 未実装 |
dist-encrypt (PGP, GPG KEY RING の操作) | makefml dist-encrypt ML | 未実装 |
popfml (POP でMTAとMLをエミュレーションする fml) のセットアップをする | makefml popfml | そもそも popfml 自体が未実装 |
POP のパスワードを設定する | makefml pop_passwd | そもそも popfml 自体が未実装 |
MLの動作をロックする | makefml lock ML | 対応するものがない。そもそも giant lock がない。 |
バグレポートの編集テンプレートを作る | makefml bug-report-template ML send-pr でもよい | 未実装 |
コマンドの実行 | makefml command ML | 未実装 |
配送モードの設定 | makefml delivery_mode ML | 未実装 |
makefml 中の変数を変更する | makefml setq ML | 対応するものがない |
fml が動いている環境についてサマリを表示する | makefml showconfig ML showconf でもよい | 未実装 / 実装予定なし |
「show コマンド」スタイルの OS 情報を表示する方法 | makefml show コマンド | 未実装 / 実装予定なし |
ファイルを送る | makefml resend ML | 未実装 / 実装予定なし |
upgrade コマンド: fml 2.0 から 3.0 へのコンバート | makefml upgrade ML | 不要 |
[1] | 逆に、makefml/fml を他のスクリプトから呼び出す場合には、 コンピュータ処理向きの出力をさせるようにすることが出来ます。 これは、けっこう出力されるものが多く、うるさい感じです。 |
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