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反論(2): フレームとウルトラライト

極論は「とりあえず何でも抜け」だが本当に大丈夫?

軽くするためには、 「バックパックのフレームも抜け!」(→単なる袋+ショルダーベルト)というのが Ultralight Backpacking の過激な主張です。 その理論を実践している代表例は Golite や Granite Gear のバックパックですが、 確かにフレームをなくせば - 1.0 kg くらい、簡単に減らせるようです。

その一方で、たとえばグラナイトギアでも、フレームなしからフレームありの モデルまであるところを見ると、やはり、よほどの強者でないかぎりフレーム なしモデルは、ありえないのでしょう。

なお、重さの目安としては、単なる袋なら 60 リットルで 500 〜 600 g 程度、 フレームありなら 1300 〜 1500 g 程度のようです。

p.s. Ray Jourdine のバックパック自作キットってのがあったくらいなので、 袋でいいなら、Joyful AK で部品をかき集め、中古の山用品を買ってきて、ば らして、袋バックパックを自作した方がマシなんじゃないか?

フレームと重心の問題

人間の体重(M)は、男性なら最低でも 50 - 60 kg あたりでしょう。 そして、消耗品を加えたバックパックの重量(M')は 4.5 + 消耗品なので、 少なくとも 6 kg はあります(普通は、もっと重たいでしょう)。

ということは、人間に密接して 1/10 の重さの質量(M') [1] があるということです。

これは、単に歩くという動作と比べ、 動作に大きな修正が必要とされることを意味します。 人間の大きな頭を支えるのですら、腰に大きな負担がかかっているというのに、 さらに背中側に大きな荷物を背負うわけですから大変な負担です。

結局のところ、バランスを取って、腰で支える体勢が取れないと、 「長時間に渡って荷物を背負うことが出来ないはずだ」ということになります。

肩でかつがず腰で支えるためには、 (初心者であればあるほど)フレームが欠かせないでしょう。

エネルギー消費量

Caution

良い説明の仕方が思いついていません。 一応、こまの説明を追加してはみたけれど ... まだ途中 (_o_) ...

質量 M と M' があるため、重心位置が変わります。 大雑把に言えば、背中側に飛び出たあたりの位置になるでしょう。

これにより「重量を支える」問題と「モーメント」の問題があります。

腰で支える

いままで頭(+上半身)だけを支えればよかった腰で、さらに質量 M' を支えま す。

M + M' の重心の真下に腰が来るようにしないと、うまく重さを支えられません。 基本的にはバックパックの詰め方がメインの調整で、 バックパックの背負い方を微調整する。

モーメントの発生

そもそも、荷物なしで歩く際に、すでに人間の体が左右に揺れながら動作して わけですが、それが気にならないのは単なる習慣です。

しかし、大きな荷物があると、重心が後ろにずれ、歩く際に荷物を左右にふっ てしまいます。

宇宙空間のアポロ宇宙船なら、そのままぐるぐる回り続けるだけですが、人間 は「左右に荷物をふる際に荷物にエネルギーを与え」「それを止めるためにエ ネルギーを使い」「さらに逆方向にふるためにエネルギーを与え」なくてはな りません。これはエネルギーの大番振舞いです。

つまり非常に疲れるということです。

これをできるだけ抑えるためには、重心位置を極力背中に近付けることと、 人間とバックパックをしっかり結び付けることしか出来ません。

イメージ図: 「こま」による不安定とエネルギー消費のイメージ

普通の状態で、こまを回せば、かなり長時間回ります。 やがて摩擦でエネルギーが失われすぎると、 十分な回転数が得られなくなり、不安定となって倒れるわけです。 こまに余計な M' をつけて回すと、そもそも不安定になり、 地球の歳差運動のように重心軸の回りにぐるぐる回ります。 やがてエネルギーが失われ倒れます。M' のない状態より早く倒れるはずです。

直接、人間のエネルギー消費と「こま」を比較するのもなんですが、 イメージはまちがっていないはず。 これが正しいパッキング、重心位置、腰で支える、ヒップベルトの意義の理論 的背景にある問題といえます。

Notes

[1]

なお、地上で、さして速くない運動という条件下では質量と重量を区別する必 要はないので、単語は適当に相互変換してください。

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